利用者や他の職員との人間関係の悩み

大半の介護士は、利用者を支える重要な仕事にやりがいを感じられるでしょう。その一方で、介護に関する悩みが尽きないことも事実です。まず、利用者との人間関係に悩む介護士は少なくありません。利用者との相性が良くないと、些細なことで誤解やすれ違いが生じ、トラブルになりがちです。特に、認知症に罹患した高齢者とのコミュニケーションは難しいでしょう。高齢者の私物を盗んだと疑いをかけられたり、依頼したサービスを履行したのに無視されたと訴えられたりすることがあるのです。

また、他の職員との人間関係も悩みの原因になります。介護現場には、介護士の他に看護師や作業療法士といった様々な職種があり、介護士は他業種の職員と上手くコミュニケーションを図って連携しなければなりません。しかし、お互いに相手の仕事の重要性を尊重することは容易ではなく、時には運営方法をめぐって対立や軋轢が生じることもあるでしょう。このような人間関係の修復に悩まされる介護士が多いのです。さらに、個々の利用者に対する介護ケアのあり方について、介護士同士で意見が合わないケースも見られます。

特に、どの程度自立支援するかという点において、意見が分かれやすいでしょう。できるだけ手を出さず本人が自力でできることは任せるようにするという意見の介護士がいれば、それとは逆にどんどん手を差し伸べて利用者が楽に生活できるようにすることが使命だと主張する介護士もいます。利用者の特性に合わせて最適な介護ケアを模索することが望ましいのですが、なかなか同僚との一致点が見いだせず悩んでしまう介護士が少なくないのです。